牛乳タンパク質は多発性硬化症による免疫反応を引き起こす可能性が高い

同様の抗体反応は植物性ミルクでは見られませんが、注意が必要です

パトリシア・イナシオ博士 | 著 2023 年 8 月 7 日

多発性硬化症（MS）患者では、牛乳に含まれるタンパク質に対する免疫反応が著しく高いことが明らかであり、これはおそらく牛乳タンパク質と人間の中枢神経系（CNS、脳、脊髄）のタンパク質との類似性によるものであると研究報告された。 。

アーモンドなどの植物性ミルクや羊乳を摂取した患者と健康な成人との間にそのような差は見られなかったが、研究者らは、植物性ミルクの代替品が「自動的により良い選択肢」であると想定しないよう警告した。

むしろ、彼らは「個別化された食事療法を確立するために、MS患者の血液をスクリーニングして、さまざまな種類の牛乳および牛乳抗原（免疫反応を引き起こすタンパク質）に対する抗体を検査することを提案している。」

この研究「多発性硬化症患者における牛乳および牛乳抗原に対する IgG 抗体の蔓延」は、雑誌 Frontiers in Immunology に掲載されました。

MS は、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせによって生じると考えられている複雑な神経変性疾患です。

食事は、MS 患者の免疫反応を調節する潜在的な要因として示唆されています。 特に、牛乳や乳製品は、病気で見られる炎症反応を増強する可能性があります。

研究者らは、これは少なくとも部分的には、牛乳に含まれるタンパク質と人間の中枢神経系に含まれるタンパク質の類似性に起因すると考えています。 免疫系が乳タンパク質に対して反応するとき、一部の抗体はCNSタンパク質にも反応し、神経細胞に損傷を与えます。

ただし、ほとんどの研究は牛乳に焦点を当てているため、他の動物性および植物性のミルクが同様の炎症反応を引き起こすかどうかは不明です。

ドイツの研究者らは、MS患者35名と対照として健康な成人20名から採取した血液サンプルを分析した。 両グループの大多数は女性で、平均年齢は30代後半だった。

具体的には、科学者らは、9 つ​​の異なる供給源の哺乳類および植物性ミルクに対する抗体の血中濃度を測定しました。

試験された動物の乳は、牛、ヤギ、羊、および A2 ミルク (A1 と呼ばれるベータ カゼイン タンパク質の一種がほとんど欠如している牛乳の一種) でした。 植物由来の原料は、アーモンド、ココナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、オーツミルクでした。

MS患者は対照と比較すると、牛乳に対する抗体レベルが著しく高く、次いでヤギ乳が続いた。 健康な成人は、患者よりも A2 ミルクに対して著しく高い免疫反応を示しました。

羊乳やさまざまな植物性ミルクに関しては、これらのグループ間に差は見られませんでした。

さらなる分析は、どのタンパク質が牛乳に対する免疫反応の悪化を引き起こしたかを特定することに焦点を当てた。 その結果、MS患者では、牛乳に最も豊富に含まれるタンパク質の1つであるベータカゼインに対する抗体が高レベルであることが判明しました。

統計分析では、拡張障害ステータス尺度（EDSS）で測定した、ベータカゼインに対する高い抗体レベルとより重度の障害との間に潜在的な相関関係があることも示唆されました。

抗α-ラクトアルブミン抗体は血中には低レベルで存在しますが、牛乳に対して最も大きな反応性を引き起こしました。 しかし、別の牛乳タンパク質であるβ-ラクトアルブミンを標的とする抗体は、脳組織サンプルに対して最も高い反応性を示したと研究者らは報告した。

これらの発見に基づいて、彼らは、牛乳タンパク質に対する免疫応答は、脳および脊髄に見られるタンパク質に対する交差反応の結果であると提案しました。

「我々は、ヒトの組織特異的タンパク質と配列や構造的相同性[類似性]を共有する動物由来の乳抗原を摂取すると、感受性の高い個人において模倣誘発による免疫系の誤作動を引き起こす可能性があると仮説を立てています」と科学者らは結論づけた。

研究者らは、乳抗原に対する患者の免疫反応に対する疾患修飾性MS療法の潜在的な影響など、この分野に関するさらなる研究が必要であると付け加えた。